VBAC(ブイバック)とは? VBAC適応の条件は? そのリスクとメリットは?

   VBACとは

 

VBACとは?
VBACは危険なの?
VBACのメリットは?
VBACできる条件は?
前回帝王切開した人のうち、何%ぐらいの人がVBACできているの?
VBACするにはどんな病院がいいの?
子宮破裂は予測可能?
じゃあ帝王切開にすればいいの?
反復帝王切開のメリットは?
反復帝王切開のデメリットは?
   

 

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VBACとは?

VBAC(ブイバック)とは、 帝王切開後の経膣分娩(自然分娩・普通分娩)のことを言います。


VBACは危険なの?
 

VBACはリスクを伴います。それは「子宮破裂」というリスクです。
リスクを伴う経膣分娩を「試験分娩」と言いますが、VBACも試験分娩です。

帝王切開をした人は、当然ですが子宮に傷がついています。
妊娠し、おなかが大きくなるにつれ、この子宮壁が薄くなり、陣痛によって傷口が裂けるという可能性があります。これが子宮破裂です。
また、傷ではないところが裂けることもあり得ます。



私のかかった病院(産婦人科のみの個人病院なので、いわゆる診療所。この辺では評判は良好)で説明されたリスクは以下のようです。

1.子宮破裂の危険性が、一般には0.1%ぐらいだが、VBACの場合は0.6%と頻度が高くなる。

2.子宮破裂が起こった場合、ごく稀だが、大量出血し母体が生命の危険性にさらされることがあり、ショック、術後感染、腸閉塞などの危険が伴い、輸血や子宮摘出などの処置が必要になることがある。

3.子宮破裂が起こった場合、胎児心拍異常、胎児死亡、新生児仮死・死亡、重篤な後遺症(脳性麻痺、精神遅滞など)が起こる可能性がある。


VBACのメリットは?
  母体側からすれば、産後の回復が早いということでしょう。
赤ちゃんのお世話がラクです。

入院期間も若干短くてすみます。

費用も安いかもしれません(医療保険や高額医療費請求などを使えば帝王切開の方が安いかもしれませんが)。

次の子も、普通分娩できるかもしれません。

病院側にしても、コストが安くてすむそうです。


VBACできる条件は?
 

私がかかった病院では、VBACを行う条件として、以下を設定していました。

1.帝王切開は過去1回のみ。

2.前回の帝王切開後の経過が順調である。

3.おなかの赤ちゃんは単胎・頭位(双子とか逆子とかじゃない)である。

4.経膣分娩のリスクが前回帝王切開だったということ以外存在しない
(胎児に問題もなく、妊娠合併症などもない)。

5.妊娠41週までに自然陣痛が開始すること。

6.以上の条件やリスクを、患者本人、家族が充分承知していること。

つまり、過去に1回だけ帝王切開をした人で、お母さんも胎児も元気で妊娠経過も順調であり、リスクもわかっている人、ということですね。

これはあくまで私がかかった病院での条件です。


このほか、かつて子宮の出術を経験している人は適応外です。
また、子宮壁の厚さを条件にしている病院もありますが、正確に計るのはなかなか難しいようです。


それから、前回帝王切開から間もなくの妊娠の場合は、子宮が充分回復していないことが考えられるため、VBACできないことが多いと思われます。この場合は帝王切開になります。

子宮の休息期間については1年と言われることが多いようですが、医師の考えや個人差があります。条件に合わない人、陣痛が来てもお産の進み具合などによっては帝王切開に切り替わる可能性は充分あります。

ご自身の意思も伝えながら、医師の判断に従ってくださいね。



また、絶対条件として、帝王切開したときの、子宮の切り方が横切りであることが挙げられます。

おなかの表面の傷は縦横どちらでも良いのですが、子宮が縦切りやT字切開などであった場合はそれだけ子宮破裂の可能性が高まるので、VBACは禁忌です。

今では帝王切開は子宮横切りが一般的ですが、何らかの理由で横切りでない切開をする場合もあります。心配な方は、帝王切開された病院に問い合わせてくださいね。


前回帝王切開した人のうち、何%ぐらいの人がVBACできているの?
  私がかかった病院のVBACの成績としては、VBAC希望者は2〜3人に1人だそうです。

このうち先生の判断などで経膣分娩が無理そうと思える人を除くと3人に1人ぐらいがVBACを試みてい ます。

この中で経膣分娩に成功するのは10人中8人ぐらい、とのことでした。

陣痛が来てVBACができそう、と思っても、 途中で緊急帝王切開に切り替わる人も2人はいるということですね。

この確率は病院によって多少前後しますが、だいたい一般的な数字だと思われます。


VBACするにはどんな病院がいいの?
  VBACするのは個人病院でも可能です。日本にはまだ規制がありませんから、助産院だって受け入れるところがあると聞きます。

しかし、VBACはいくら妊娠経過が良くても、普通分娩よりも遙かにリスクの高いものです。
普通分娩だって、何があるかわからないものなんですよ。

医療処置のできない助産院や、休日や夜間に医師が家に帰ってしまって緊急時の受け入れ態勢が整っていないような病院で、万が一のことがあったらどうでしょう?

理想としては、複数の産婦人科医の他にも麻酔科医、小児科医(新生児科医)が24時間態勢で待機している病院、それも、NICUがある病院で、いつでも緊急手術が可能、緊急輸血もOK、といった、常に臨戦態勢の病院です。

でも、いつも手術室が空いているとは限らないし、医師の確保も大変で、残念なことに実際はこのような病院はほとんどないようです。

また、陣痛が来たとしても、ダブルセットアップは必要です。
ダブルセットアップとは、普通分娩の進行と同時に、いつでも帝王切開に切り替えられる準備をしておくことです。点滴、剃毛、導尿などはもちろん、理想を言えば普通分娩とは別に、帝王切開用の医師や看護師が手洗いをして待っているぐらいの方が良いのです。

緊急時の受け入れ態勢はどうなっているのか、よく医師と相談し、納得しておくことが大切です。


子宮破裂は予測可能?
  ほとんど不可能だそうです。

子宮破裂は分娩前、分娩中、分娩後、いつどのように起こるのかを予測するのは困難です。
出産前に限らず、何事もなく出産を終えた産婦さんが、突然大量出血で意識を失ってしまうこともあるそうです。

しかし、分娩前なら兆候がある場合があります。

病院で陣痛が来ている間は常に胎児の心拍を確認しているはずです。その心拍がガクッと落ちた(胎児心拍数の徐脈化)とき、子宮破裂を疑うことができます。

また、陣痛に間隔がなく、ず〜っと痛い場合も疑うことができます。


じゃあ帝王切開にすればいいの?
  その方が危険は少ないと言われています。

しかし、帝王切開も、手術である以上、術後の合併症などの心配があり、まったくのノーリスクという訳にはいきません。


反復帝王切開のメリットは?
なんと言っても子宮破裂を回避することができることです。

また、胎児にとっては危険が少ない出産方法です。


反復帝王切開のデメリットは?
  まずは、3人目を妊娠しても必ず帝王切開になるということです。
2回以上帝王切開をした人がVBACした場合、子宮破裂の可能性はさらに高くなってしまうからです。

それから帝王切開には回数に限らず、麻酔が合うのかとか、血栓ができやすく、肺塞栓になる可能性がある、癒着の可能性があるなど、リスクが伴います。

ただ、これらは事前の検査や予防策などもありますので、回避できることが多いです。

→リスクについては「帝王切開の偏見」のページでも若干触れていますので見てくださいね。


 

 

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